この記事では、犬が布団を掘る理由を解説します。

寝る前の習慣から、床やカーペット、クッションなど、様々な場所を掘る行動理由についても詳しく説明していきます。

愛犬が布団や床、カーペットを掘る行動は飼い主にとって不思議に思えるかもしれません。

しかし、これらの行動には犬の本能や習性が深く関連しています。

犬の祖先であるオオカミは、巣穴を掘ることで寝床を作り、寒さや暑さや雨をしのぎます。

また、蚊などの虫から身を守るという大切な目的があります。

ラルーシのオオカミにおける15年間の巣穴行動研究では、168匹の子オオカミにおいて、雨や蚊などの外部要因による生存率の変動が調査されました。雨天や蚊が多い時には、子オオカミの生存率が低下することが分かっています。

参考：Wolf denning behaviour in response to external disturbances and implications for pup survival

このようにオオカミにとって巣穴を掘るという行動は命を守るための大切な行動なのです。

また、オオカミは食物の貯蔵庫を作ることも知られています。

オオカミは大きな獲物を狩りますが、一度に食べきれないことが多いため、食料が余ってしまう可能性があります 。

したがって、食物の貯蔵場所を作ることが繰り返し観察されています。

また、野生の子オオカミは、餌が余ったときには巣穴の周りに餌を隠しておくことも観察されています。

つまり、オオカミは余った食べ物を隠した後で、後にそれを取り戻していると考えられています。

参考：Observational spatial memory in wolves and dogs

愛犬が寝る前に布団やベッドを掘る行動は、多くの犬の飼い主にとって見慣れた光景かもしれません。

この行動には、実はいくつかの意味があります。

【安心できる寝床を作るため】

先ほど説明したように、野生の犬やその先祖であるオオカミは、身を守る寝床を作るために巣穴を掘りました。

家庭にいる犬も、この野生時代の名残から布団を掘ることがあります。

これは、安心して寝るため、または居心地の良い場所を作りたいという心理が働いていると考えられます。

このように、寝る前に掘る行動は、犬が快適な睡眠環境を求めている証拠とも言えます。

【遊びのため】

また、掘る行動は遊びの一環として行われることもあります。

特に遊びが好きな犬は、布団やベッドを掘ることで楽しんでいる可能性があります。

【ストレス発散のため】

犬がストレスを感じている時にも掘る行動を示すことがあります。

この場合、犬は布団やベッドを掘ることでストレスを発散し、心を落ち着けようとしています。

カーミングシグナルとは、calming（気持ちを落ち着かせる）signal（合図）です。

掘る行動もその一つであると考えられています。

参考：カーミングシグナル by.トゥーリッド・ルーガス

参考：ひだまり動物病院　穴掘り

【物を隠したいため】

食べ物やお菓子などを物陰に隠したりするのもよく見る行動です。

オオカミには貯蔵庫を作ることが知られています。

この名残で犬にとって大切なものを一時的に隠しておいて、あとで食べようと考えているものと思われます。

うちの犬はソファーの後ろの陰に、お菓子を良く隠していました。

犬が地面や床やカーペットやクッションを掘る行動の理由は基本的にはこれまで述べた【安心できる寝床を作るため】【遊びのため】【ストレス発散のため】【物を隠したいため】と変わりありません。

しかし、述べたこと以外にも以下のことがあります。

【狩猟行動】

齧歯動物の足跡やモグラの穴を見つけると狩猟行動として穴を掘ろうとすることがあります。

床やカーペットでは基本的にないことですが、模様などでそのように感じて行動している可能性もあります。

【涼しいスポットを求めて】

暑い日には日陰や日陰に近い場所を好みます。

そのため穴を掘って日陰を作ろうとする場合があります。

【掘るのが好き】

単純に掘るという行為が好きな犬もいます。

【逃げたい】

犬が逃げたい場合は物陰に隠れたりその場から逃げる習性があります。

穴を掘ることでその場から逃げたくて行っている場合があります。

参考：Digging in Dogs

【安心した寝床を作りたい場合の対処方法】

寝床の環境を整えてあげましょう。

犬にとって安心できる眠れる環境を作ってあげることは非常に重要です。

・子供の頃から臭いの付いた毛布などを使用する。

・人通りの多すぎない休める場所を幾つか作っておく。

・涼しい場所を作っておく。

・寝床の硬さを調整してあげる。

このような場所を作っておくことが大切です。

それでも、布団を掘る行動が続き困るようであれば、掘る行動をしたらクレートに移動させるように根気よく続けましょう。

寝たい時にはクレートに入るを繰り返すことで眠くなったらクレートに入るようになります。

参考：アイリスオーヤマ ペットキャリー

また、布団を掘られて困るようであれば、掘られても大丈夫な専用のクッションなどを用意しておくことも有効です。

参考：”PetFriends.jp”ドーナツ型ペットベッド

【遊びの場合の対処方法】

半分は飼い主の気を引きたいという思いも考えられます。

この場合には掘るという行為を一旦止めさせることが有効です。

犬の名前を呼ぶなどして一旦止めましょう。

【ストレス発散のための対処方法】

これはストレスを発散させることが何よりも有効です。

散歩や運動をさせる、何かしらストレスの原因となっているものがあるのであれば取り除いてあげましょう。

【物を隠したいための対処方法】

こちらは本能的な部分もありますが、家の中のものを外に隠されるなどあると困ることもあるかもしれません。

犬はこのような本能があることを知っておき、愛犬の隠す場所を探して知っておきましょう。

おやつやご飯などが隠されていないかを定期的にチェックして、万が一腐っていないかなども確認するようにしてください。

【狩猟行動の対処方法】

家の外にモグラなどの穴がある場合は、それを塞いだり退治したりするとよいでしょう。

また、床やカーペットやクッションなどで、モグラの穴と勘違いして掘る行動をしているようであれば、模様を変えましょう。

【涼しいスポットを求めての対処方法】

屋外であれば日陰、室内でも涼しい場所を作ってあげましょう。

熱中症は犬でも命に係わる可能性があります。

参考：愛犬を熱中症から守る予防や対処法

【掘るのが好きの対処方法】

このような犬は掘るという行動に幸せを感じていると思われます。

そのため、止めさせるというよりも砂場や掘ることができる明確なエリアを提供し、その場のみで穴を掘るよう訓練してください。

おもちゃ、おやつ、ボールなどを砂のエリアに埋め、指定された適切な場所を掘るように訓練します。

また、その周りはにフェンスを設置することを検討してください。

【逃げたいの対処方法】

これはストレスと同じく、原因を見つけて解決することが何よりも有効です。

一時的なことであれば良いですが、常に逃げたいと思わせる環境であるのならその原因を必ず取り除くようにしましょう。

この記事では、愛犬が寝る前に布団を掘る理由について解説しました。

布団やベッドのみならず、床やカーペット、クッションなどを掘る行動は、犬の野生の本能と密接に関連しています。

この行動は、犬が快適な睡眠環境を作るため、またはストレスを解消するための自然な手段です。

私たち飼い主は、この本能を理解しそれに対応することで、愛犬の幸せと安全を守ることができます。

掘る行動を完全に止めることは困難ですが、安全な掘り場所を提供し、適切な散歩や遊びを通じて愛犬のストレスを減らすことが重要です。

愛犬の行動を正しく理解し、適切に対応することで、愛犬との生活をより豊かにしてくださいね！