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犬のあくびにはどんな意味が?ストレスサインから病気の兆候まで3つの理由を徹底解説

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1. はじめに

愛犬があくびをする姿を目にしたことが何度もあるでしょう。
犬が大きな口を開けて「ふぁ~」とあくびをしている様子は可愛らしいですが、その犬のあくびには実はさまざまな意味や理由が隠されています
もちろん、人間と同じように眠いときにもあくびをしますが、それだけではありません。

2. 犬のあくびの基本的な意味

犬のあくびは、一見すると人間と同じように「眠気」のサインだと思われがちです。
実際、犬も人間と同じように、リラックスして眠いときによくあくびをします。
あくび自体の詳しいメカニズムは完全には解明されていませんが、一般的に次のような説があります。

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  • あくびによって新鮮な酸素を体内に取り込み、脳に送ることで働きを活性化させている
  • 大きく口を開け顔の筋肉を伸縮させることで脳を覚醒状態にし、眠気を覚ます効果がある
  • 体温上昇時に脳をクールダウンさせる役割がある(脳のオーバーヒートを防ぐ)

こうした理由から、犬は眠気を感じたときにあくびをするのです。

しかし、それだけではありません。
近年の研究や専門家の間では、犬のあくびはコミュニケーションの一環であるとも考えられています。
かつては「脳に酸素を送るため」などと言われていた犬のあくびですが、実際には単なる生理現象ではなく、周囲への合図としての意味を持つことがわかってきました。

次のセクションからは、愛犬がどのような気持ちや状況であくびを見せるのか、具体的なケースに沿って説明していきます。

3. ストレスや不安が原因のあくび

犬が頻繁にあくびをしている場合、まず考えられるのはストレスや不安が原因の「あくび」です。

多くのドッグトレーナーや行動専門家も、過剰なあくびは犬のストレスサインであると飼い主に注意喚起しています。
例えば、しつけ教室で犬がうまく指示に従えず緊張しているときや、飼い主に強く叱られて戸惑っているとき、犬はしばしば大きなあくびをしてみせます。
それは「今の状況はちょっとつらいな…」という犬なりの気持ちの表れなのです。

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実際、犬は不安や緊張を感じている場面で自分を落ち着かせるためにあくびをすることがあります。
このような行動は「カーミングシグナル」と呼ばれ、自分や相手に「落ち着いて」と伝えるための犬のボディランゲージです。

犬のカーミングシグナルにはあくびのほかにも、口の周りをなめる、目を細める、身体をブルブルと振るわせる(体を震わせる)、舌を出すなどといった行動が含まれます。

参考文献:犬が舌を出す理由

もし愛犬が苦手な場所(例えば動物病院の待合室など)にいるときや、知らない人に急に抱きかかえられたとき、あるいは飼い主に叱られているときなどにあくびをしたら、それは「怖い」「やめてほしい」「落ち着きたい」といったサインだと考えられます。

こうしたストレス由来のあくびを見逃してしまうと、犬にさらなる負担をかけてしまう可能性があります。

例えば、愛犬が叱られている最中にあくびをした場合、それ以上叱りつけるのは逆効果です。
ストレスサインを無視し叱り続けてしまうと、犬に過度な緊張を与え、健康面や飼い主との信頼関係に影響を及ぼす場合もあります。
愛犬が見せるあくびの意味に気付いたら、まずはその原因となっているストレスを取り除き、安心させてあげることが大切です。

4. コミュニケーションのサインとしてのあくび

犬のあくびには、ストレス軽減以外にもコミュニケーションの役割があるとされています。
犬同士や犬と人間との間で、あくびは一種の「合図」やメッセージになることがあるのです。

例えば、犬は相手に敵意がないことを示すためにあくびを見せることがあります。
これは「私は争うつもりはないよ」というサインで、特に相手の犬が興奮していたり攻撃的だったりする場合に、自分は脅威ではないと伝える効果があります。

実際、オオカミや犬の群れでも、緊張を和らげる目的でボス犬があくびをしてみせる行動が観察されています。
あくびは決して「服従」の意味ではなく、場を落ち着かせるための積極的なコミュニケーション手段なのです。

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また、犬のあくびは伝染することが知られています。
人間同士でもあくびがうつることがありますが、実は犬同士でも同じ現象が見られます。
さらに興味深いことに、人間のあくびが犬に伝染するケースも報告されています。

とりわけ、飼い主など犬がよく知って信頼している相手のあくびは伝染しやすい傾向にあり、このことから犬の伝染あくびは飼い主との絆の深さを示すサインだという説もあります。

実際、アメリカの研究では犬が見知らぬ人よりも飼い主のあくびに強く反応する傾向が示唆されており、これは犬が飼い主に共感しリラックスしている証拠とも考えられています。

このように、犬のあくびは周囲の状況や相手に対してさまざまなメッセージを送っています。
飼い主である私たちも、愛犬のあくびに込められた意味を読み取ることで、犬とのコミュニケーションをより深めることができるでしょう。

5. 病気や体調不良が隠れている可能性

ほとんどの場合、犬のあくびはそれほど心配のいらない生理的な反応やコミュニケーションですが、場合によっては病気や体調不良のサインである可能性も否定できません

特に、明らかに眠いわけでも緊張している様子もないのにあくびが頻繁に出るようであれば注意が必要です。
実際、「あくびがやたらと多い」「生あくび(眠くないのに出るあくび)が増えている」場合、何らかの体調不良が隠れている可能性があります。

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具体的に疑われる健康問題の例として、以下のようなものが挙げられます。

  • 低血糖症: 子犬に多い症状ですが、血糖値が低下すると脳の働きが弱まり、それを活性化させようとしてあくびが増えることがあります。
    老犬でも別の病気に伴って低血糖を起こす場合があります。
    舌や歯ぐきの色が紫色になっていないか確認しましょう。
  • 貧血: 貧血によって体内の酸素が不足すると、脳が酸欠状態となりあくびが増えることがあります。
    貧血のときは元気消失や息切れ、尿の色が赤っぽくなる等の症状がみられます。
    歯ぐきや舌が白っぽくなっていたら要注意です。
  • 口内の痛み: 口腔内に不快感や痛みがあると、その痛みを紛らわすためにあくびが増えることがあります。
    歯の異常や歯周病がないかチェックし、口を気にする仕草(口元を触る、よだれが増える等)がないかも観察しましょう。

上記のように、犬があくびと共に他の異変が見られる場合は早めに動物病院で獣医師の診察を受けることをおすすめします。

特に、犬のあくびの頻度が急に増えた、あくび以外にも元気・食欲の低下や呼吸の異常、粘膜の色の変化などがある場合は注意が必要です。

普段から愛犬の様子をよく観察し、「いつもと違うな」と感じるあくびがあれば、深刻な症状に進行する前に専門家に相談しましょう

6. 飼い主ができる観察ポイントと対処法

ここまで解説してきたように、犬のあくびにはさまざまな意味があり、その背景には愛犬の心理状態や体調が反映されています。
飼い主として大切なのは、愛犬のあくびを単なる癖や仕草と見過ごさず、なぜ今あくびをしているのかを考えてみることです。
そのために、日頃から以下のポイントを観察しておきましょう。

  • 犬のあくびの頻度やタイミング: 普段から1日のうちでどれくらいあくびをするか、そのパターンを把握しておきます。急にあくびの回数が増えたと感じたら要注意です。
  • 犬があくびをする状況や文脈: 愛犬がどんな場面であくびをしているか注目しましょう。
    眠そうにしているときなのか、知らない人に会った直後なのか、飼い主に叱られている途中なのかによって、あくびの意味が変わります。
  • その他のボディランゲージ: 犬があくび以外に、緊張や不安を示すサイン(耳やしっぽの位置、目をそらす、口元をなめる、身体を震わせる等)はないか確認しましょう。
    これらの組み合わせで犬の気持ちを総合的に判断できます。
  • 健康状態のチェック: 犬のあくびとともに体調の変化が見られないか観察します。
    例えば、舌や歯ぐきの色、呼吸や心拍の状態、食欲や元気さなどに異常がないか日頃からチェックしておきましょう。
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観察の結果、もし愛犬がストレスからあくびをしているようであれば、そのストレス源を取り除いたり環境を整えてあげることが重要です。
例えば、他の犬に会って緊張していそうなときは一度その場を離れる、知らない人に急に触られないよう配慮する、しつけの際も怒りすぎず穏やかな声で伝えるようにするといった工夫が考えられます。

特に、叱っている最中に愛犬があくびをした場合は、それ以上叱るのはやめて一旦落ち着かせましょう。
深呼吸をするように優しく声をかけたり、褒めながら指示をやり直すなど、犬が安心できる方法に切り替えることがポイントです。

またユニークな対処法として、飼い主が意図的に犬へあくびをしてみせるというものもあります。
犬のボディランゲージに詳しい専門家によれば、飼い主がわざと大きなあくびをすることで「リラックスして大丈夫だよ」と犬に伝えることができると言います。

実際、飼い主があくびをすると犬もつられてあくびを返してくることがあり、これは先述した伝染性のあくびの効果も相まって犬が少し落ち着いた証拠かもしれません。
愛犬が緊張している場面では、ぜひ一度試してみる価値があるでしょう。

一方、犬のあくびが体調不良のサインかもしれないと感じた場合は、無理に様子を見すぎず早めに獣医師に相談することが大切です。

特に、高齢の犬や持病がある犬の場合、ちょっとしたサインを見逃すと症状が悪化してしまうこともあります。普段から愛犬の行動を注意深く見守り、異変をキャッチしたら適切に対処してあげましょう。

7. まとめ

犬のあくびは、眠気サインだけでなく愛犬の気持ちや体調を伝える重要なサインです。

リラックスしているときのあくびであれば心配はいりませんが、ストレスを感じているときやコミュニケーションの一環としてのあくび、さらには体調不良が原因のあくびもあります。

本記事で紹介したように、その場面や他の様子からあくびの意味を見極めて、適切に対応することが大切です。

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日頃から愛犬のあくびの頻度や様子を観察し、いつもと違う兆候がないか注意してあげてください。
もし「普段よりあくびが多い」「なんだか様子がおかしい」と感じたら、早めに動物病院に相談しましょう。

参考文献:
American Kennel Club – Why Do Dogs Yawn?
American Kennel Club – Understanding Dog Body Language

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PetFriends.jp店長 篠本/ペットフード販売士
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愛犬歴:30年 シーズー:RAN、チワワ:風斗、礼音、柚。 ロードバイクが趣味でアメリカ横断など世界を自転車で旅するのが趣味です。

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