犬は家族の中でなぜ噛む人と噛まない人がいるのでしょうか?
家族の一員である犬が順位付けする理由や、噛む理由とその対策、さらには特定の人にだけ甘噛みする理由などについても解説していきます。
また、一言に噛むと言っても、「本気噛み」以外に、「甘噛み」もあります。
この記事では犬の甘噛みについても触れていきます。
目次
1. 犬はなぜ噛む人と噛まない人がいるのか
1.1 犬が噛む理由
家庭で飼われる犬が、なぜ人を噛むのでしょうか?
噛むという行動にはどの様な意味があるのでしょうか?
そもそも犬が噛む行動の根本として、犬にとって自然なコミュニケーション手段の一つであるということです。
そのため噛むと一言で言っても、強く噛む場合もあれば、甘噛みのように優しく噛むなど様々な噛み方があります。
また、犬が噛む主な理由としても、恐怖や不安、興奮、遊び、支配性、痛みや不快感、学習行動など様々です。
2. 犬と家族の一員
2.1 犬が家族に与えてくれるプラスの効果
噛むということは犬にとってコミュニケーションの1つです。
そのため、まず私達が認識しておくべきことは犬の立場になります。
犬は私たち人間にとって、単なるペット以上の存在であり、家族の一員ということがほとんどです。
本題に入る前に、まずは犬との生活は私達にとってどのような効果を与えてくれるのでしょうか?
改めて確認しておきましょう。
【犬が家族に与える主なプラス効果】
1. 心理的なサポート:犬は、飼い主のストレスや不安を軽減してくれます。
犬とのふれあいを通して、私達飼い主の心理的な安定や、幸福感を高めてくれます。
ペットフード協会による「令和5年 全国犬猫飼育実態調査」では、犬を飼うきっかけとして、30~40%の人が「日々の生活や癒しや安らぎが欲しいから」となっています。
これは、犬を飼う理由の最も大きい割合で、実際に心理的なサポートを求めて犬を飼う人が多いことが確認出来ます。
2. 家族内のコミュニケーション:犬は家族間の絆を強化し、コミュニケーションを取る機会を増やしてくれます。
犬を通して家族と一緒に散歩やお出掛けすることで家族間の会話が増え、同じ経験を共有する時間が多くなることもあるでしょう。
これもペットフード協会による「令和5年 全国犬猫飼育実態調査」において、19~27%の人が「家族とのコミュニケーションを増やしたい」という理由で犬を飼っていることが分かります。
これは、犬を飼う理由の2番目に大きい割合です。
3. 健康増進:犬のお世話のために身体を動かすようになり、健康にも良い影響を与えれくれます。
散歩や運動は、人間にとっても、生活習慣の改善を見直すキッカケを与えてくれます。
10~13%の人が自分や家族の運動量を増やすことを目的に犬を飼っていることが分かります。
4. 子供への影響:下の表を見てわかることは、「子供の遊び相手になって欲しいと思ったから」「子供に優しさを身に着けて欲しいと思ったから」「子供に命の大切さを学ばせたいと思ったから」と、子供に良い影響を与えたいという思いから犬を飼っている人が多いということです。
30~40%の人が犬を飼うことで子供に良い影響を与えたいと考えて飼っていることが分かります。
そして、実際に犬を飼うことで、「他の動物への興味」「表情が明るくなった」「家族との会話量が増えた」「責任感が芽生えた」などの効果が発生したというデータもあり、犬を飼うことが子供にとっても良い影響を与えることが多いことが表から分かります。
3. 犬が特定の家族を噛む理由と対策
3.1 犬が家族の中で順位をつけている
家庭内での犬の振る舞いは、時に家族の中で特定の順位や役割を認識しているかのように見えます。
明らかに、特定の人に対してだけ喜び方が違う、特定の人の言うことだけきく、特定の人が愛犬を呼べば来るけど、呼んでも来ない人もいる。
このような経験をしたことも多いのではないでしょうか?
犬は元々群れで生活する社会的動物です。
群れで生活するうえでは、必ずリーダーが存在します。
リーダーは自分自身だけではなく、群れの命を守るために行動を示す重要な存在です。
そんなリーダーをトップにして上下関係を作ることは群れをなすうえでとても大切なことでした。
犬の祖先であるオオカミも群れで生活をし、犬も自然の中では群れで生活をしてきました。
人間と一緒に生活をするようになった犬もその名残として、家族という群れの中で順位付けしていると考えられています。
家庭で飼われるようになった犬にとって、生きるためにリーダーにすべきは生きるための餌などを与えてくれる人間になってきます。
自分より上と順位付けされた人には、従順に従うものの、自分より下と順位付けされた人は、気に入れないことがあれば吠えたり噛みつかれることもあるかもしれません。
しかし、最近では犬は家族に「単純にその人を頼れるか?」「その人が安心出るか?」「その人は自分にとって必要か?」といった理由だけで順位付けはしていない。
このような説もあり、人によって意見が異なり専門家の中でもハッキリとした答えは出ていません。
あなたはどう思いますか?
私は順位は付けられてると思いますが、その順位は損得で決められていると思っています。
3.2 犬の性格によるもの
犬の行動や性格は、犬種によるものと多くの人は思っています。
しかし、実は犬種の特徴より予測できる確率はわずか9%と、遺伝子の影響によって決まることが多いことがわかっています。
この研究では、一般にレトリーバーは比較的穏やかで吠えたりすることが少なく、レトリーブ(獲物を回収)するとされています。
しかし、良く吠えるレトリーバーもいれば、レトリーブを全くしないレトリーバーもいます。
この発見は、犬の行動に関連するDNAが11カ所あるためとされています。
この犬種だから噛むということよりも、その犬の性格で噛むという要因の方が大きいということです。
3.3 犬は噛むことで要求が通ると学習してしまっている
犬は学習する動物であり、その行動の多くは経験に基づいて行われます。
これには、噛む行動も含まれています。犬が噛むことで要求が通ると学習する理由としては、主に以下の点が挙げられます。
【犬が噛む行動を学習する理由】
1. 注意を引くため:家族が噛まれた際に過剰に反応すると、犬はその人に対してこの行動が効果的であると認識し、繰り返すようになることがあります。
2. 望みを叶えるため:犬は噛むことで、食べ物をもらったり、遊んでもらったりする経験があると、噛むことで望みが叶うことを学びます。
このような結果が得られるたびに、噛む行動はどんどん酷くなっていきます。
3. ストレスや不安の解消:ストレスや不安を感じている犬は、噛むことでこれらの感情を解消する方法を学習することがあります。
【対策】
噛むことで要求が通ると学習させないことが大切です。
噛まれても無視する、過剰に反応しないなども大切です。
体罰は違うトラウマを与えたり、ストレスを与えることで噛む行動が酷くなる場合があります。
「ダメ」と一言で終えるようにしましょう。
3.4 犬が怖がっているから
犬が家族内で噛む行動の一因として、怖れや不安が挙げられます。
【犬が怖がる理由】
1. 騒音に対して:犬は大きな騒音に対して敏感に反応することがあります。
例えば、雷や花火などの大きな音に反応して恐怖を感じることがあります。
Scientific Reportsに掲載された論文では、犬が騒音感受性や恐怖心などの不安様形質を示すことが報告されています。
フィンランドの飼い犬(1万3700頭)に対する調査では、72.5%の犬が問題行動を示したことが明らかにされました。
2. その人に対しての恐怖:犬は他の犬や見知らぬ人、慣れていない人に対して恐怖心を抱くことがあります。これは特に、過去に悪い経験をしたり、十分な社会化が行われていない場合に見られることがあります。家族であっても慣れていない飼い主に対して恐怖心から噛むことがあります。
3.犬が急に触られることや見えない位置から触られることによる恐怖:犬は予期せぬ接触に恐怖や不安を感じることがあります。
犬にとって見えない位置から突然触ったり、特に眠っているときやリラックスしているときに急に触られると、驚いて反射的に噛むことがあります。
子供が犬に噛まれやすいのは、子供の行動が犬にとっては予期せぬ動きを予感させ恐怖を感じるからです。
また、犬は怪我や病気による痛みが原因で、通常は触らせてくれる部位でも噛むことがあります。
【対策】
犬が恐怖を感じるときは、穏やかで安心できる環境を提供し、ゆっくりと慣れさせることが最も重要です。
犬が怖がる原因を特定し、それを避けるか、徐々に慣れさせる訓練を行うことも効果的です。
家族の誰かが犬に慣れていないために噛むようであれば、徐々にコミュニケーションをとって慣れていきましょう。
また、想定外の動きは犬にとって恐怖になることがあります。
犬を触る前に声をかける、犬の視界内に入ってから触れるなどして、犬が触れられることに心構えができるようにします。
子供が犬に触れる際にはそのことを教えて理解させて触れさせることも大切です。
4. 犬が特定の人に甘噛みする理由
4.1 なぜ特定の人だけに甘噛みするの?
犬が家族に対して噛むにしても、本気噛みではなく、甘噛みという場合もあります。
甘噛みは、犬にとって自然な行動の一つで、多くの犬種が行います。
以下に、主な理由をいくつか挙げます。
1. コミュニケーション手段としての甘噛み:犬は甘噛みを通じてコミュニケーションを取ろうとします。
特に、愛情が不足している場合や社会化が十分でない場合に、甘噛みをする傾向があります。
2. 遊びや注意を引くため:犬は遊びや注意を引きたいときに甘噛みをします。
特定の人の足を噛む行動も、「この人なら遊んでくれる」という経験からくるものです。
3. 歯や歯茎のムズムズ:特に生後3週間~8か月の子犬の場合、歯が生え変わる時期に歯や歯茎がムズムズし、甘噛みをすることがあります。
4. ストレス発散:犬はストレスや不安を感じると、甘噛みをすることでストレスを発散する場合があります。
5. 愛情表現:犬が甘噛みをするのは愛情表現の一つです。
しかし、過度の独占欲から甘噛みが本気の噛み付きに変わることもあります。
甘噛みをする犬種にはどの犬種にも共通する行動です。
甘噛みはしつけで改善することができます。
特に、子犬のうちに適切なしつけを行うことが重要です。
甘噛みをすることがないように、犬に「噛んでよい物」「噛んではいけない物」を教えること、「甘噛みしたらその場を黙って離れる」などしてしつけていきましょう。
5. まとめ:家族の中で愛犬が噛む人と噛まない人がいなくなるために
この記事では、犬が家族の一員としてどのように行動し、どのように感じているのかを掘り下げてきました。
愛犬が家族の中で噛む人と噛まない人がいる理由は、犬が感じる恐怖、ストレス、愛情表現、学習からの行動など、多岐にわたります。
また噛むでも「本気噛み」だけではなく「甘噛み」もあり、その甘噛みについても触れました。
犬にとって噛むという行為はコミュニケーションの1つです。
犬は意味なく噛むのではなく、噛むには何かしらの意味が必ずあるということです。
しかし、共存して生活していく上では、噛むのを止めさせる必要があります。
愛犬が安心して暮らせる環境を作り信頼関係を深めることで、家族の中で噛む人と噛まない人がいなくなる可能性が高まります。
愛犬との生活を充実したものにしてくださいね。
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